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美博ノート

秘抄

「金と銀―光の彩り」岐阜現代美術館

1971年、1979年 167.0×130.2センチ 墨、朱、銀泥、銀地、和紙

 墨の面に月と読める形象が浮かぶ。明るい銀の面との間に挿した朱の線が、明確な間合いを生んでいる。右下に走る線の連なりは、好んで書いた「幽」の字ではと館長の宮崎香里さん。「闇夜の月を表現したと深読みできますが、篠田は字を意味ではなく形として捉えていました」

 書家として活動を始めた篠田は、「描く」「塗る」ではなく「書く」と言った。広い面も、太いはけで線を引くように書く。油絵のように色を重ねることができない墨での制作は、いつも一発勝負だった。
 美術館の2階には、篠田のアトリエがそっくり移築されている。没後、残された品々を整理していた宮崎さんは、帳面の中に下絵のような構図を見つけた。次の一筆を吟味するかのように画面を見つめる篠田の写真も残っている。予想できない墨のにじみに任せる一筆一筆は、考え抜かれたものでもあった。

 

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