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美博ノート

自画像

「アンドリュー・ワイエス展」
豊田市美術館(愛知県豊田市)

1945年 テンペラ、パネル 63.5×76.2センチ ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン、ニューヨーク 47 National Academy of Design, New York, USA/Bridgeman Images.©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

 スケッチブックを抱え、険しい顔つきの青年が荒野を歩いている。米国の具象絵画を代表する画家、アンドリュー・ワイエス(1917~2009)が28歳の時の自画像だ。

 ワイエスの描く風景は、いつも徒歩圏にあった。家の周囲を歩き、見慣れた景色に小さな変化を探し、心象風景として表現した。

 生前のワイエスを知る高橋秀治館長は、曇った表情の理由を、米国屈指の挿絵画家で、明るい画風で知られた父との葛藤に見る。「ワイエスは、暗い色調で貧しいアフリカ系の隣人をありのまま描き、絵の師であった父から直すよう指導されました」。本作を描いた年、父は事故で急逝する。

 死を身近に感じるようになったワイエスは、朽ちゆく家やその住人を描くようになった。彼の作品には、日本人が共感する無常観や死生観が見てとれると高橋さん。「本人も、日本では深く作品を理解してもらえると話していました」

 

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