読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

ヒトデ

「アンドリュー・ワイエス展」
豊田市美術館(愛知県豊田市)

1986年 水彩、紙 72.7×54.0センチ フィルブルック美術館、タルサPhilbrook Museum of Art,Tulsa, Oklahoma. Bequest of Marylouise Cowan, 2010.9.14.©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

 画家の視点は室内にあり、妻の後ろ姿を見つめている。鑑賞者は思わず、彼女が見つめる双眼鏡の先の海原を想像する。高橋秀治館長は「ここでも窓枠は、閉じて室内と室外を隔てるのではなく、つなぐ役割を持っています」と言う。

 窓枠のヒトデは、貝殻とともにワイエス宅のあちこちに置かれていたと、親交のあった高橋さん。ワイエスに欠かせないモチーフだったクリスティーナや彼女の邸宅オルソン・ハウス、自身の別荘があった米・メイン州の象徴だったのではと話す。

 ワイエスは自身と同様、毎夏をメイン州で過ごしていたベッツィと出会い結婚。題名を相談したり、画集をプロデュースしてもらったり、画業を支えるビジネスパートナーでもあった妻を、何度も描いた。ワイエスにクリスティーナを引き合わせたのもベッツィだった。

 夫妻は今、メイン州の海岸沿いに眠っている。墓石が立つのは、オルソン家の墓所の一角だ。

 

美博ノートの新着記事

  • おもちゃのヘラジカ おもちゃのヘラジカの作者、ヨナス・クニェージャ(1929~2020)は帝政ロシアから独立を果たしたリトアニアに生まれ育った。

  • 伝統楽器カンクレス ユネスコ無形文化遺産の一つに、バルト三国各国で開催される「歌と踊りの祭典」がある。

  • タオル掛け バルト海に面し、広大な森や川、湖など豊かな自然に恵まれたリトアニア。

  • クリスティーナ・オルソン 画家が毎夏を過ごした別荘近くに住んでいたクリスティーナ。

新着コラム