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ぶらり、ミュージアム

解説はもちろん外見も重視 うさ耳の音声ガイド

(東京都現代美術館)

「うさぎスマッシュ展」特製のうさ耳音声ガイド(貸出料金:300円)
「うさぎスマッシュ展」特製のうさ耳音声ガイド(貸出料金:300円)
「うさぎスマッシュ展」特製のうさ耳音声ガイド(貸出料金:300円) 「うさぎスマッシュ展」会場風景 「うさぎスマッシュ展」ポスター

 海外のミュージアムに行くと、一昔前の電話の受話器をひと回り大きくしたような物体を耳にあてながら鑑賞している人の姿をよく見かけます。その謎の物体の正体は音声ガイド。入館料に代金が含まれていたり、日本語対応していたりする館も多いので慣れぬ異国の地で心強い味方となります。

 翻って日本のミュージアムで貸し出されている音声ガイドの、そのほとんどはヘッドホンスタイルです。日本でヘッドホン式が好まれる理由として、両手がフリーになることや、混雑した会場でも邪魔にならず、他の鑑賞者の迷惑にならないといった点があげられます。世界広しといえども日本だけが突出してヘッドホン式が多いそうです。この辺の事情はもっと掘り下げて社会学的な観点から考えてみるのも面白いかもしれませんね。

 いずれの形式にせよ、外見(ハード面)よりも内容(ソフト面)が充実していなければ逆に鑑賞の妨げになりかねません。その点日本の音声ガイドはしっかりしていて、音声ガイド最大手の「A&Dオーディオガイド」では、学芸員資格を持つ専門スタッフが、展覧会主催者や担当学芸員のチェックを受けながら原稿を書いています。また近年では俳優や歌舞伎役者をナビゲーターに起用するなどの差別化も図られ展覧会のひとつの楽しみとなっています。

 そんな中でも東京都現代美術館で開催中の「うさぎスマッシュ展」(2014年1月19日まで)の音声ガイドは海外でも日本でも目にしたことのない“ステキな音声ガイド”として注目を集めています。外見も中身も共に充実しているのです。

 何とヘッドホンにうさぎの耳が取り付けられているのです!毛並みから色までデザイナーさんに依頼し作ってもらった「うさ耳音声ガイド」。これまでの音声ガイドにスマッシュ(一撃)を与え、展覧会のコンセプトを鑑賞者自身も体現する貴重なアイテムとなっています。さぁ、みなさんもアリスをワンダーランドへ誘った「うさぎ」に姿を変え会場内を飛び跳ねましょう!?

 A&Dオーディオガイド
 http://www.adaudioguide.com/

 うさぎスマッシュ展 世界に触れる方法(デザイン)
 http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/148/

 

耳よりばなし

 東京都現代美術館の「うさぎスマッシュ展」では、一定の条件の下であれば写真撮影が可能です。匂いを用いて制作された作品や、映像作品もあるので全てを写すことは困難ですが、国内外21組のデザイナー、アーティストらによる多様な表現に触れた思い出として記録を残すことは可能です。「うさ耳音声ガイド」を友達と付け、会場内で記念撮影するなんて良いですよね。
 一見難解なコンセプトの作品もこうしてぐっと敷居を下げてくれると、まるでディズニーランドでミッキーの耳を付け非日常を謳歌する楽しみに通ずるものが生まれ、アートを身近なものとして捉えることができます。
 (撮影の際の注意点)
 http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/148/


データ

東京都現代美術館

〒135-0022
東京都江東区三好4-1-1
開館時間:午前10時から午後6時まで
※入場は午後5時30分まで

休館日:月曜日(祝休の場合は翌火曜)、年末年始(12月28日~2014年1月1日)
ハローダイヤル:(03)5777-8600
URL:http://www.mot-art-museum.jp/


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

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