ぶらり、ミュージアム

現地で観るのに劣らない 空間ごと再現した「環境展示」

(大塚国際美術館)

ミケランジェロが手掛けたシスティーナ礼拝堂内の絵画も再現

ミケランジェロが手掛けたシスティーナ礼拝堂内の絵画も再現

  • ミケランジェロが手掛けたシスティーナ礼拝堂内の絵画も再現
  • スクロヴェーニ礼拝堂で思う存分ジョットを堪能
  • 聖ニコラ オルファノス聖堂
  • 聖テオドール聖堂
  • エル・グレコの大祭壇衝立画復元。イタリアへ特注して作ってもらった祭壇

 世界25カ国190余の美術館が所蔵する1000点を超える世界の名画や、古代壁画を大塚オーミ陶業の特殊技術によってオリジナル作品と同じサイズ・色合いで、原寸大の陶板で忠実に再現し展示公開している大塚国際美術館。鳴門の渦潮を臨む緑豊かな瀬戸内海国立公園内に建つ壮大な規模の美術館です。

 鑑賞ルートは何と約4キロメートルにも及び、古代から現代絵画まで西洋美術の変遷を教科書などで目にしたことのある世界中の名画により、日本に居ながらにしてたどることが出来る、世界でも類を見ない美術館です。レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」の修復前と後を比較して見られるなど、場所だけでなく時空を超えた美術鑑賞が大塚国際美術館では可能です。

 中でも出色なのが「環境展示」と呼ばれている展示方法です。ポンペイの古代遺跡やカッパドキアの聖テオドール聖堂壁画、オランジュリー美術館のモネの「大睡蓮」など、移動不可能な美術作品を現地の空間をそのまま再現し立体展示を行っています。

 例えば、イタリアのパドヴァにあるスクロヴェーニ礼拝堂。ジョットによって描かれた西洋美術史において重要な作品である一連のフレスコ絵画が堂内壁面にびっしりと描かれた礼拝堂を現地で鑑賞するには事前予約が必要です。チケットを握りしめ決められた日時に行ったとしても鑑賞時間はわずか15分しか許されません。正直それではキリストやマリアの生涯を描いたフレスコ画をほとんど観ることが出来ません。しかし、大塚国際美術館なら思う存分その空間に身を置いておけるのです。同様にミケランジェロが描いた天井画と正面祭壇壁画「最後の審判」とともに立体再現した「システィーナ・ホール」では用意された椅子に腰かけ思う存分に現地の空間と同じ気分を味わえます。

 実際に伺うまでははっきり言って複製への期待は高くはありませんでした。しかし、スクロヴェーニ礼拝堂やシスティーナ礼拝堂の環境展示に身を投じるやいなや、それは雲散霧消し、目の前にある圧倒的な臨場感をたたえる空間に心を奪われてしまいました。オーバーでも何でもなく一生に一度は足を運ぶ価値のある美術館です。

 

耳よりばなし

 「名画を複製する」と言っても現地の美術館にある状態と同じものを目指しているところに大塚国際美術館のこだわりや、使命感が見て取れます。例えばどんな作品でも額縁に収まっていますが、その額縁までも忠実に再現しているのです。祭壇画の場合も同じです。エル・グレコが祭壇画として描いたものの現在は各地へ散逸してしまっているものを復元展示も行っています。高さ12メートル以上、横幅7.7メートルもある大祭壇画の外枠の部分をイタリアで作ってもらい船で徳島まで運んだという徹底したこだわりがあります。名画だけでなく額縁も要注目です。


データ

大塚国際美術館

〒772-0053
徳島県鳴門市鳴門町 鳴門公園内
開館時間:9時30分から17時
(入館は16時まで)

休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)/8月無休
連続休館 2015年1月5日~9日
2月は歌舞伎公演による休館あり
電話:088-687-3737
URL:http://www.o-museum.or.jp/


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2014年10月27日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

「ぶらり、ミュージアム」の新着記事 一覧を見る
大分県立美術館

9年ぶりにオープン 
「五感で楽しめる」県立美術館

2015年4月24日(金)、「日本一のおんせん県」を名乗る九州・大分に大分県立美術館(OPAM)が開館します。長崎県美術館(2005年)、青森県立美術館(2006年)以来、9年ぶりに新設される県立美術館です。

MOA美術館

尾形光琳の魅力を存分に

今年(2015年)は、本阿弥光悦(1558~1637)が、元和元年(1615年)に徳川家康から鷹峯の地を拝領してちょうど400年目にあたります。

国立歴史民俗博物館

「歴博」に歴史あり

「国立」を冠し芸術作品・美術工芸品を収蔵、展示する東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館はあまりにも有名で、足を運ばれたことのある方も多いと思います。

水戸芸術館

美しいチタン製のシンボルタワー

水戸と聞いてまず真っ先に頭の中に思う浮かぶものと言えば、納豆、黄門さま、偕楽園の梅(次点であんこう鍋)ですが、NHKの地震発生時や台風接近時のニュース映像にしばしば登場する、銀色に輝くスマートな塔(タワー)もベスト3と同じくらい真っ先に思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

新着コラム 一覧を見る
空に住む

シネマNEWS

『空に住む』、今市隆二・登坂広臣からコメント到着‼

『EUREKA ユリイカ』などで世界的に知られる青山真治監督の7年ぶりの長編映画『空に住む』より、三代目J SOUL BROTHERSが担当する主題歌「空に住む ~Living in your sky~」の歌詞付きロングトレーラーが解禁、今市隆二・登坂広臣からコメント到着した。

ATEOTD

シネマNEWS

門脇麦×宮沢氷魚出演、齊藤工監督最新作『ATEOTD』公開決定!

俳優・フィルムメーカー・白黒写真家などマルチに活躍を続ける斎藤工が齊藤工名義で企画・脚本・監督を務めた最新短編映画『ATEOTD』が、9月25日(金)、イオンシネマほか全国上映が緊急決定!

プラスチックの海

シネマNEWS

レオナルド・ディカプリオ製作総指揮、ドキュメンタリー映画『プラスチックの海』

環境保護活動にも熱心な俳優のレオナルド・ディカプリオも製作総指揮に名を連ね、また、国連総会で短縮版がプレミア上映もされたドキュメンタリー映画『プラスチックの海』の公開が決定!ポスタービジュアルも到着した。

ライフ・イズ・カラフル

シネマNEWS

人気絶頂のビートルズも愛用!

『ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン』より、人気絶頂だった若き日のビートルズと、新進気鋭のデザイナーだったころのピエール・カルダンとの関りが分かる貴重な本編映像が解禁された!

お知らせ(更新情報)
新型コロナウイルス感染症拡大を受け、開催を中止・延期するイベント、プレゼントがございます。

♪プレゼント♪

♪プレゼント♪

♪プレゼント♪

♪プレゼント♪

♪プレゼント♪

♪プレゼント♪


◆お知らせ

中止を決定したものにつきましては、その都度情報を更新し、公開を取り下げます。
なお、中止・延期となったイベント等の詳細につきましては主催者にお問い合わせいただきますようお願いいたします。
マイページへ 新規会員登録

プレゼント応募時に1度会員登録をされると、以後はパスワードなどの入力だけでご応募いただけます。