「ニーゼと光のアトリエ」(2015年) ブラジルの精神科病院 絵の具と筆で患者の心を自由に
人と誠実に向き合い、目の前のことに真剣に取り組み続けてきた青年フォレスト・ガンプの波瀾万丈の半生をたどった作品です。初めて見た時、自分との共通点が多くて驚きました。
IQがやや低いフォレストは小学生のころからいじめられていました。高校に入って同級生に車で追いかけられた時、友達ジェニーの「走って!」という声で猛然と駆け出します。その姿を見たコーチから俊足を買われ、大学でアメリカンフットボールの選手として活躍します。
僕は中学まで陸上をやっていました。小学生の時は父と2人で練習を行っていましたが、頑張っている僕を見て友達が一緒に走ってくれるようになったり、社会人の駅伝選手と一緒に練習する機会をもらえたりして、全国の小学生が参加する大会のマラソンで1位になることができた。当時はただ走ることが好きという気持ちでひたむきにやっていましたが、今考えると、フォレストと同じように周りに支えられたのかなって。この経験が今の自分をつくっているなと感じています。
その後、フォレストは尻のケガの治療中に病院で覚えた卓球で世界選手権大会に出場。たちまち有名人になって、テレビ出演などで得たお金を使い、ベトナム戦争で失った親友ババとの約束だったエビ漁船を購入して会社をつくります。
僕も中学3年の時にケガをしてしまい、陸上をやめて趣味だった絵に本格的に取り組み始めました。いまは独立して会社を立ち上げ、アニメの背景美術を制作する美術監督や、イラストレーターとして活動しています。これまでの人生もどことなく似ていて、自分にとってこの映画は、こうなりたいという憧れなんです。
(聞き手・中山幸穂)
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監督=ロバート・ゼメキス 製作国=米国
出演=トム・ハンクス、ロビン・ライト、ゲイリー・シニーズ、ミケルティ・ウィリアムソンほか
東京都在住。多数のアニメ作品の美術監督を務め、八景島シーパラダイス(横浜市)イルカショーのキービジュアルも担当。そのほかMVや広告ビジュアルなどで幅広く活動している。
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