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宮島未奈さん
近江ちゃんぽん亭 近江ちゃんぽん

宮島未奈さん©新潮社

 滋賀県発祥の近江ちゃんぽん亭は県内各地にあるのですが、初めて食べたのは近くにお店ができてから。看板メニューの「近江ちゃんぽん」をよく頼みます。

 ちゃんぽんというと、鶏ガラや豚骨をベースにした白濁スープの長崎ちゃんぽんをイメージするかもしれませんが、近江ちゃんぽんは澄んだ和風だし。白いご飯にもぴったりです。店内にある昆布酢を加えて「味変(あじへん)」もおすすめ。何回かに分けて入れ、味の変化を楽しんでいます。
 野菜の量は並盛(もり)、大盛、1日盛の3種類から選べます。私はいつも並盛ですが、結構どっさりと入っていてヘルシー。調子が悪い時に食べても元気が出ます。
 家族と一緒にサイドメニューの肉汁餃子(ギョーザ)も頼んだり、東京から来た編集者と一緒に行ったり。出かけた先で食事する場所に迷い、そのまま家の近くまで戻ってちゃんぽんを食べることもあります。30分もあればさっと食べられて、満足度も高いのがいいですね。
 小説「成瀬は天下を取りにいく」のシリーズは大津市が舞台で、私が暮らす中で気に入った場所が登場します。閉店した西武大津店、琵琶湖のミシガンクルーズ……。ちゃんぽんも同じように親しみあるもの。いつか小説に出てくるかもしれません。

 (聞き手・木谷恵吏)

 ◆野菜並盛850円。滋賀県彦根市の食堂を引き継ぎ1988年に1号店オープン。近畿、東海地方を中心に53店舗。問い合わせは店舗を展開するドリームフーズ(☎0749・26・9131)。オンライン(https://ec.chanpontei.com/)で、冷凍生麺、だし、調味料付き2食セット(1296円)など購入可。


  みやじま・みな 小説家。1983年静岡県生まれ。大津市在住。デビュー作の「成瀬は天下を取りにいく」(新潮社)で本屋大賞などを受賞。6月に文庫版も発売。新刊に「それいけ!平安部」(小学館)。

 

(2025年7月17日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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