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造幣博物館

川底から発見 豊臣氏の金貨

「竹流金」 98.6グラム 縦約62×横約22ミリ 1580年代
「竹流金」 98.6グラム 縦約62×横約22ミリ 1580年代
「竹流金」 98.6グラム 縦約62×横約22ミリ 1580年代 「菊桐金錠」 164グラム 約75×約33ミリ 1580年代 手本銀板(表) 加納夏雄作

 国内で流通する貨幣や記念貨幣の製造などを担う造幣局の施設である当館は、和同開珎以来の古銭や、これまで製造した貨幣を中心に約4千点の資料を展示しています。

 中でも類例が少なく貴重な「竹流金」と「菊桐金錠」はいずれも豊臣秀吉が用いた家紋が刻印されています。「竹流金」は節のある竹のような鋳型に金を流して作ったと思われます。鉄砲の購入時など、その場で必要な大きさに切る秤量貨幣として用いられ、両端に鑿の跡が残っています。一方、金錠とは地金としてではなく貨幣として形作られた金のこと。菊と桐が刻印された「菊桐金錠」は重量や形状から、その後の大判の原形になったと考えられます。

 これらは1935年に造幣局近くの大川(旧淀川)でシジミ漁の漁夫が見つけました。大坂城落城の際に持ち出されたとみられ、300年余り川底に沈んでいたと思われますが、現在も輝きを残しています。

 「手本銀板」は1871年に造幣局が創業して最初に発行した貨幣の手本として制作されたものです。表面の龍の図案と彫刻を担当したのは皇室御用を命じられたことのある金工師・加納夏雄です。

 これを元に極印(貨幣の原型)の制作は英国に委託する計画でしたが、卓越した技量を認めた外国人技師の勧めもあり、国内でつくることになりました。同じデザインで加納と門下生が手がけた極印で2、5、10、20円の各金貨が製造されました。

(聞き手・鈴木麻純)


 《造幣博物館》大阪市北区天満1の1の79(問い合わせは06・6351・8509)。午前9時~午後4時45分(入館は45分前まで)。無料。3点は常設展示。第3(水)、桜の通り抜け期間など休み。28日(水)まで臨時休館。

学芸員 植田康弘 

 うえだ・やすひろ 造幣局勤務を経て2018年4月から現職。専門は日本の古代貨幣。

(2021年4月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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