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中国陶磁【上】 静嘉堂文庫美術館
官窯民窯の至宝 あわせ持つ
新石器時代から清朝まで、中国陶磁は途絶えることなく作られてきました。特に宋時代以降は、皇帝の命で設けられた「官窯(かんよう)」と、海外貿易用の陶磁を焼いた「民窯」の二つの潮流が生まれました。
官窯の陶磁は、宮廷内でひそかにめでられてきましたが、1911年の辛亥(しんがい)革命で清朝が滅亡すると、市場に流出します。三菱第4代社長の岩崎小彌太(こやた)(1879~1945)は、戦前にこの官窯に着目し、研究者や美術商と一体となって収集。日本に伝来する民窯の最高級品とあわせて、世界屈指のコレクションを築いたのです。これを見ることができるのが、静嘉堂(せいかどう)文庫美術館です。
「青磁香炉」は南宋官窯の作品です。透き通るような青を、雨が過ぎ去った後の空の色にたとえて「雨過天青」と表現する人もいます。二重、三重に入った「貫入(かんにゅう)」と呼ばれる細かいひびには、官窯の技術の高さが表れている。これぞ中国の本流が生んだ至宝です。
一方、「曜変天目」は、南宋時代の民窯の作品。鎌倉・室町時代に伝来し、代々珍重されてきた日本の国宝です。国宝や重文に指定されている中国陶磁の多くが、こうした茶道具の伝来品です。そこには、日本人が茶の湯の文化の中で、中国陶磁を重要視してきたという、日本ならではの「中国陶磁観」が見て取れます。
(聞き手・渡辺香)
★どんなコレクション?
和漢の古典籍や絵画、彫刻など幅広い美術品を集めた三菱第2代社長の岩崎彌之助(1851~1908)と、中国陶磁を系統的に収集した息子の小彌太によるコレクション。これらをもとに1992年、美術館が開館した。国宝7点、重要文化財84点を含む、約20万冊の古典籍と、約6500点の東洋古美術品を所蔵する。
「青磁香炉」と「曜変天目」は、6月17日から8月13日まで開催の「珠玉の香合・香炉展」で展示する。
《静嘉堂文庫美術館》 東京都世田谷区岡本2の23の1。午前10時~午後4時半(入館は30分前まで)。1000円。7月17日を除く(月)と7月18日休み。問い合わせは03・5777・8600。
美術商 川島公之さん かわしま・ただし 東京・京橋の東洋古美術の老舗・繭山龍泉堂代表取締役。東京美術商協同組合理事。日本陶磁協会理事。中国陶磁に精通し、個人の収集のほか、美術館との仲介にも携わる。朝日カルチャーセンターで講師も務めた。 |
(2017年6月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
色絵は陶磁器に赤や緑、黄などで上絵付けし、低温で焼成した焼き物の総称です。中国様式を踏襲し、日本では1640年代以降、有田の伊万里焼や、京都の京焼など各地で盛んに作られました。
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