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色絵【上】 戸栗美術館
自慢の一品と親子の結束
色絵は陶磁器に赤や緑、黄などで上絵付けし、低温で焼成した焼き物の総称です。中国様式を踏襲し、日本では1640年代以降、有田の伊万里焼や、京都の京焼など各地で盛んに作られました。伊万里焼の名品を見られるのが、戸栗美術館です。
戸栗美術館は、実業家の戸栗亨(1926~2007)の収集品を軸にしています。彼は戦後、日本の生活文化が失われるのを憂え、古民具を収集しました。信頼のおける美術商と出会った40歳前後から本格的に陶磁器を収集し、美術館を創設しました。
その彼の自慢の一品が、高さ47センチある伊万里焼の「色絵牡丹(ぼたん)文瓶」。中国の五行思想に倣い、縁起のいい赤の模様に、牡丹をあしらっています。西欧への輸出用として制作され、完成度が高く豪華絢爛(けんらん)。堂々とした風格があります。
しかし、彼が収集を諦めた品も。有田の近くで焼かれた鍋島焼の尺皿です。尺皿とは直径約30センチの大皿のことで、国内では25点しか確認されていませんでした。没後、欧州で「色絵十七櫂繋(かいつな)ぎ文皿」が発見され、2014年に息子で2代目館長の戸栗修氏が入手。初代の悲願がかないました。絵柄は、舟をこぐ17本の櫂をひもで結ぶ図。武士の結束を表現したのでしょうか。2代にわたり収集した、親子の結束にも通じます。
(聞き手・吉田愛)
山梨県出身の実業家、戸栗亨が創設。1987年、旧鍋島藩の屋敷跡に開館した。伊万里、鍋島などの肥前磁器のほか、中国や朝鮮などの東洋陶磁、約7千点を所蔵する。コレクションから年4回の企画展を開催。3月21日までの「古伊万里にみるうわぐすり展」では、伊万里焼を構成する4色の釉薬(ゆうやく)の変遷などが見られる。
紹介した2点は、21日まで同時開催している「磁器生誕から100年の変遷」で公開中。
《戸栗美術館》 東京都渋谷区松濤1の11の3(TEL03・3465・0070)。午前10時~午後5時((金)は8時まで、入館は30分前まで)。1000円。原則(月)休み。
美術評論家 森孝一 もり・こういち 1951年生まれ。日本陶磁協会常任理事。雑誌「陶説」を編集するかたわら、美術館やギャラリーでの企画も手がける。「陶芸家になるには」(共著)、「器の手帖(てちょう)」(監修)、「文士と骨董(こっとう)」(編集)など。 |
(2018年3月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
地方美術館では珍しく、総合的な写真作品の収集に努めているのが島根県立美術館です。山陰ゆかりの写真家にも力点を置き、奈良原一高(1931~)をはじめ、故塩谷定好(しおたにていこう)や森山大道らの作品を多く持っています。
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