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ロゴ散歩

江戸東京博物館

江戸東京博物館

興味津々 時代の移ろい見つめる目

 左目、なのだ。見得を切る歌舞伎役者の。

 謎の浮世絵師・東洲斎写楽が描いた「市川鰕蔵の竹村定之進」をモチーフに、故・佐藤晃一さんがデザインした。

 江戸・東京を鮮やかに、意外な角度から想起させるアイデアに「おお、さすが天才、と思いましたよ」と、当時アシスタントを務めていた深谷則夫さんは振り返る。

 江戸東京博物館は江戸と東京の町と暮らしを、模型や復元展示を駆使して紹介する。

 小林淳一副館長は「子や孫に『自分が子どもの頃はこんなだった』と話し、コミュニケーションが生まれる館です」と話す。

 目のデザインは、そんな来館者の好奇心や驚きも表現する。

 「佐藤さんは普遍性を希求する人でした」と深谷さん。「『縄文時代の人が見ても宇宙人が見ても、これがいいと思うかね、深谷くん』と、いつも本気で聞かれるんですよ」

 江戸から現代への視線のようにもみえる目。

 過去を現在、未来へつなげる館の原点と重なる。

 ◆江戸東京博物館 東京都墨田区横網1の4の1(問い合わせは03・3626・9974)。午前9時半~午後5時半(入館は30分前まで)。原則(月)(祝・休の場合は翌日)休み。

(2020年6月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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