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アートリップ

三鷹天命反転住宅 
荒川修作+マドリン・ギンズ作(東京都三鷹市)

極彩色の「住めるアート」

約260平方メートルの敷地に円柱状の建物が3棟=伊ケ崎忍撮影
約260平方メートルの敷地に円柱状の建物が3棟=伊ケ崎忍撮影
約260平方メートルの敷地に円柱状の建物が3棟=伊ケ崎忍撮影 キッチンを中心に、球体や畳の部屋が取り囲む=伊ケ崎忍撮影

 住宅街で異彩を放つ極彩色の建物。四角や丸を組み合わせた外観は、まるで絵本の中から飛び出してきたかのよう。ニューヨークを拠点に活躍した美術家の故・荒川修作と、妻で詩人の故・マドリン・ギンズが手がけた「住めるアート」だ。3階建て9戸の集合住宅で、現在は5世帯が入居している。

 2人は常識を当たり前と思わずに過ごすことで、不可能が可能になるという「天命反転」を唱え、日本などに美術作品や公園を作った。そして2005年、「帰る場所にアートを」と、念願の住宅を完成させた。

 部屋に入ることができると聞き、今月初旬、見学会に参加した。扉を開けた瞬間、赤、青、緑と様々な色の壁が目に飛び込む。「内外装あわせて14色。どこからでも6色以上が視界に入るよう配色されています」と支配人の松田剛佳(たけよし)さん(39)。色の数が増えると、全体を一つの環境として捉えるようになり、違和感を感じないという。

 すり鉢状のたたきの床には大小の凸凹があり、歩くだけでも全身の神経を集中させる必要がある。「ここで暮らしたら、老けることを忘れそうだね」と夫婦で参加していた50代男性。

 「住まいはわたしたちの身体の延長にある器」と荒川とギンズは考えた。部屋の中心に立つと、自分も作品の一部になった気がした。

(永井美帆)

 「天命反転」の作品

 荒川修作(1936~2010)とマドリン・ギンズ(1941~2014)は1962年から共同制作を開始し、「天命反転」の思想を形にした作品を残した。岐阜県の「養老天命反転地」は凸凹のある地面が広がり、迷路のような建物が点在する公園。岡山県の奈義町現代美術館には、巨大な円筒形の内壁に京都・龍安寺の石庭を再現した「太陽」が展示されている。

 《三鷹天命反転住宅へのアクセス》 武蔵境駅、三鷹駅などからバス。


ぶらり発見

モーニングセット

 「三鷹天命反転住宅」(TEL0422・26・4966)の建物見学会は月1~2回開催。次回は12月17日(土)午後2時。公式ホームページから要予約(満席の場合あり)。2700円、小中高生1000円。ショートステイプログラムも行っており、2LDK(約60平方メートル、2人まで)で1日1万800円~(別途施設利用料2万6000円、3泊4日から利用可能)。

 三鷹駅から徒歩5分のリスボン(TEL47・1427)は地元の人に愛される純喫茶。午前7時半~11時には飲み物を注文すると、「モーニングセット」=写真=が170円で食べられる。トーストかホットドッグを選べる。

(2016年12月13日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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