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内海英華さん
新世界グリル梵(ぼん)本店 ヘレカツカレー煮込み

 グリル梵さんとは50年近いお付き合いになります。無性にお肉が食べたくなった時に思い出すのがこの名物メニューです。レアに揚げた牛のヘレ(フィレ)肉にカレー風味の特製ソースがたっぷりかかっていて、まるで煮込んだようなのに衣はサクサク。お肉はお箸でホロリと崩れて軟らかい。注文を受けてから切り分ける新鮮なお肉はもちろん、おいしさの秘密はソースにあると思っています。スパイスの香ばしさとコクはしっかり感じられるけど辛くなく、野菜や果物の甘みもあって後味すっきり。10代で食べた頃からずっと変わらない味です。

 大阪・通天閣が見下ろす「ジャンジャン横丁」にあった劇場で、高校生の頃から芸能の道を志して、舞台に上がっておりました。多くの師匠にかわいがっていただき、こちらは七代目笑福亭松鶴師匠がごちそうしてくれたのが最初。一門が代々大事にされていて、私も若い噺家(はなしか)さんを門出祝いなどにお連れすることもある特別な場所です。

 今は3代目の店主さんが味も雰囲気も見事に引き継いでおられます。私も上方唯一の女道楽師として、一度は途絶えた伝統芸能の三味線漫談を復活させることができました。次の世代に継承していくために日々精進を重ねていきたいですね。

(聞き手・山崎元子)

 

 ◆大阪市浪速区恵美須東1の17の17(☎06・6632・3765)。2500円。正午~午後2時、5時~7時(ラストオーダー)。6日・16日・26日休み。不定休。

 


 

 うつみ・えいか 女道楽師、上方寄席囃子(ばやし)三味線奏者。大阪府出身。1978年に旭堂南陵へ女流講釈として入門。81年に漫才師内海カッパ・今宮エビスのカッパに師事。落語会やテレビ中継などで活躍中。2012年、第67回文化庁芸術祭賞大衆芸能部門大賞を受賞。
 
(2026年3月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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