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アートリップ

ふくべたちの庭 
新井敦夫(SORA SDS)、菅野麻依子、松本大輔作(栃木県下野市)

市民の交流育む”実”

配色は、庁舎や広場の芝生に映えるようにした=横関一浩撮影
配色は、庁舎や広場の芝生に映えるようにした=横関一浩撮影
配色は、庁舎や広場の芝生に映えるようにした=横関一浩撮影 屋内の作品は、イベント時に点灯され、様々な色に光る=横関一浩撮影

 緑、オレンジ、水色……柔らかな芝の上に、つるりとした色鮮やかな物体が渦を描いて並ぶ。

 昨年できた、栃木県下野(しもつけ)市の新庁舎に設けられたベンチで、市の特産物かんぴょうの原材料「ふくべ」(ユウガオの実)がモチーフだ。繊維強化プラスチック(FRP)製で、高さは約50センチ。庁舎前の芝生広場に36台ある。造形や照明などの専門家らが一年以上かけて制作した。

 形や配色を手がけた菅野(すがの)麻依子さん(43)は、実際に畑になっている実を参考にした。フォルムは角度によって多彩な表情を生み、15ある色はふくべの「一生」を表す。「色や置き方で個々の性格が出ました。それぞれに命があるように思えます」

 一方、庁舎内のロビーには6台の白い「ふくべ」がある。事前のワークショップで、市立祇園小の6年生82人がふくべを観察したスケッチをもとに、菅野さんが一つの形にした。内部には子どもたちが見つけた模様が描かれ、組み込まれたLEDが点灯すると浮かび上がる仕掛けだ。それぞれ異なる色に光り、明滅の速さも違う。「ふくべたちが会話するイメージ」と照明を担当した松本大輔さん(34)。

 「人が自然と集う『場』を作りたかった」と話すのは企画制作統括役を務めた新井敦夫さん(57)だ。お披露目の日、ふくべで陣取りゲームなどをして自由に遊ぶ子どもの姿に、手応えを感じたという。

(小寺美保子)

 栃木県下野市新庁舎

 2006年に南河内町、石橋町、国分寺町が合併して誕生した下野市。庁舎は、市制10周年を迎えた昨年5月にオープンした。
 「ふくべ」が置かれた、1階の広いロビーと前面の広場は、市民の活動や憩いの場として設けられた。作品は配置が変えられ、イベント時には座席や舞台装置として使えるようになっている。アートディレクションを担当したのはNPO法人アート&ソサイエティ研究センター。

 《アクセス》JR自治医大駅から徒歩3分。


ぶらり発見

天平の丘公園

 下野市内の「天平の丘公園」では今月下旬まで、約450本の桜が次々に開花する=写真。5月5日まで「天平の花まつり」を開催しており、コンサートや野だてなどの催しも。問い合わせは市観光協会(0285・39・6900)。

 新国道4号沿いの「道の駅しもつけ」(TEL38・6631)には、農産物の直売所や地元食材のレストラン、パン屋、ジェラート店などがある。県内各地の土産物も充実。午前9時~午後6時(レストランは11時~7時)、第1・3(水)休み。

(2017年4月4日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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