アートリップ

オレときいろがやってきた 
ミロコマチコ作(和歌山県有田川町)

絵本の主人公が町に

壁画の大きさは、縦2メートル、横8.8メートル。JRの線路沿いにある=楠本涼撮影

壁画の大きさは、縦2メートル、横8.8メートル。JRの線路沿いにある=楠本涼撮影

  • 壁画の大きさは、縦2メートル、横8.8メートル。JRの線路沿いにある=楠本涼撮影
  • 旧田殿口駅舎を彩る、絵本作家・長谷川義史さんによる壁画。昨年9月に公開制作された=楠本涼撮影

 JR紀勢線の藤並駅を降り、旧有田鉄道の廃線跡を整備した遊歩道「ポッポみち」を進むと、青紫色の大きなネコと目が合った。長い胴体を黄とオレンジ色の植物の陰に潜ませている。

 ペンキとアクリル絵の具で描かれたこの壁画は、大阪府出身の絵本作家、ミロコマチコさん(38)の作。モチーフは、絵本「オレときいろ」の主人公だ。和歌山県有田川町(ありだがわちょう)から、絵本の原画展と合わせて壁画の制作を依頼されたミロコさんは「自分の絵が町にずっと残るなんてうれしい」と快諾。昨年10月に同町を訪れ、観客30人以上が見守るなか、2日で描き上げた。

 官民一体となって、絵本を通じた町づくりに取り組む同町。2011年には藤並駅構内に、約2千冊の絵本を置く「ちいさな駅美術館」を開設した。ここで絵本原画展を年10回催したり、絵本作家によるイベントを企画したり。その活動の中心にいるのは、同町社会教育課所属で司書の杉本和子さん(50)だ。絵本作家の催しに足を運び、直談判してきた。絵本の「よみきかせ隊」も育成。現在50人ほどが参加し、保育所や小学校などで活動する。町内ではカフェや美容室、ポッポみち沿いと、至る所で絵本に触れ合える。

 ポッポみちをさらに歩くと、旧駅舎にも絵本作家の壁画があった。杉本さんは「散歩しながら絵本の話をして欲しくて」と話す。

(牧野祥)

 有田川町

 和歌山県中央部に位置する有田川町は、2006年に吉備町、金屋町、清水町が合併して誕生した。人口は約2万7千人。「有田みかん」などの生産が盛ん。絵本を使った取り組みは、合併前の金屋町時代から。絵本作家や出版社の編集長が審査員を務める絵本コンクールを11年から毎年開催している。

 JR藤並駅の観光案内所には無料のレンタサイクルがあり、町内の散策におすすめだ。

 《アクセス》 藤並駅から徒歩5分。


ぶらり発見

ぶどう山椒

 藤並駅から徒歩25分ほどの有田川町地域交流センターALEC(TEL0737・52・4730)は、2009年に開設された町の中心的な図書施設。一般書約4万冊、漫画約4万冊が並ぶ。カフェがあり、飲食しながらの読書が可能。無料の公衆無線LANが配備され、パソコンやタブレット端末iPadの貸し出しも。午前10時~午後7時((土)(日)(祝)(休)は5時まで)。原則(月)休み。

 同町の清水地区は、粒が大きく香りの良いぶどう山椒(さんしょう)写真=の一大産地。山椒のつくだ煮やみそなどの加工品も製造する。

(2019年3月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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