アートリップ

二世坂東三津五郎の石井源蔵
奈路道程作(大阪府和泉市)

赤壁の「男」 視線の先には・・・

全作品に、もととなった作品の画像と解説が添えられている=滝沢美穂子撮影

全作品に、もととなった作品の画像と解説が添えられている=滝沢美穂子撮影

 大阪府和泉市の宮ノ上公園。高さ約10メートル、幅100メートルの赤壁で、刀を手にした男がにらみをきかせている。現代風のこの絵は、東洲斎写楽の浮世絵「二世坂東三津五郎の石井源蔵」をもとにイラストレーターの奈路道程(なろみちのり)さんが描いたもの。壁に沿って歩くと、モネの睡蓮や、歌川国芳、葛飾北斎の作品をもとにした絵などが次々現れる。これらは、公園から徒歩7分の同市久保惣記念美術館の収蔵品をもとに関西ゆかりのクリエーターが描いた絵を街中に飾るプロジェクト「アートガッシュ」の作品群だ。

 作品は30点。和泉中央駅から同館までの約2キロの道中にある宮ノ上公園や大学校舎などで見られる。北斎さながらの大波の中で鯨と人間が格闘していたり、大相撲興行図にロボット力士が登場したり、原作にはないモチーフも描かれる。階段や橋の裏など思わぬ場所にも絵が現れる。冒頭の「石井源蔵」の視線の先を追うとたたずむ美人の絵が。怖い顔して見とれていたのか、と街中ならではの仕掛けも楽しめる。同館学芸員の上仁(うえに)理恵子さんは「もとはどんな絵だろう? なぜここにあるの? などと想像して発見する面白さがある」と話す。

 地元の子どもたちと館収蔵の中国工芸品をモチーフに作品を描いた市内在住の作家・小宮さえこさん。設置場所のトンネルに落書きが多いとの指摘を受け、有志と作品周辺の清掃活動を始めた。館から飛び出したアートは市民が街に関心を抱くきっかけにもなったようだ。

(井上優子)

 和泉市久保惣記念美術館

 1982年に開館。国宝2件を含む1万1千点超を収蔵。常設の中国工芸品と西洋美術のほか、企画展で浮世絵版画や中国の書画などを紹介する。


ぶらり発見

 宮ノ上公園と隣接する和泉市いずみの国歴史館(問い合わせは0725・53・0802)。同市で出土した5~8世紀の須恵器や、江戸時代の甲冑、刀などで歴史を紹介する。原則(月)休み。

 ループの水なすロール公園から車で8分の洋菓子店オヤジのたまごループ(問い合わせは92・5582)では、「ループの水なすロール」(写真、1480円)が人気。泉州名産の水なすをコンポートとゼリーにし、クリームチーズとからめてスポンジケーキで巻いた。10月中旬ごろまで販売。原則(火)休み。

(2019年8月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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