五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
1950年代、戦後復興期の日本の美術界に衝撃を与えたメキシコ近代絵画。当時の名古屋の若手画家たちも影響を受けた。名古屋市はメキシコ市と姉妹都市でもあり、市美術館では約530点を所蔵する。
本作は、はがきサイズのブリキに描かれたフリーダ・カーロ(1907~54)の油彩画。少女がかぶるのは、メキシコの祭り「死者の日」に使う骸骨の仮面。先祖の墓に捧げる花、マリーゴールドを手にたたずんでいる。足元に置かれた農耕祭事で用いるジャガーの仮面は、一体誰がかぶっていたのか。想像が膨らむ。「不在の存在を感じさせる、ミステリアスな魅力があります」と保崎裕徳学芸員。絵を下から見上げると、地のブリキが反射するためか、ジャガーの目が光るのも不思議だ。