読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

フリーダ・カーロ「死の仮面を被った少女」

ザ・ベスト・セレクション(名古屋市美術館)

フリーダ・カーロ「死の仮面を被った少女」
1938年、同館蔵

 1950年代、戦後復興期の日本の美術界に衝撃を与えたメキシコ近代絵画。当時の名古屋の若手画家たちも影響を受けた。名古屋市はメキシコ市と姉妹都市でもあり、市美術館では約530点を所蔵する。

 本作は、はがきサイズのブリキに描かれたフリーダ・カーロ(1907~54)の油彩画。少女がかぶるのは、メキシコの祭り「死者の日」に使う骸骨の仮面。先祖の墓に捧げる花、マリーゴールドを手にたたずんでいる。足元に置かれた農耕祭事で用いるジャガーの仮面は、一体誰がかぶっていたのか。想像が膨らむ。「不在の存在を感じさせる、ミステリアスな魅力があります」と保崎裕徳学芸員。絵を下から見上げると、地のブリキが反射するためか、ジャガーの目が光るのも不思議だ。

(2018年11月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

  • 朝の富士 白んだ空を明るい水色で、朝日を受けて輝く富士の頂の冠雪を黄色で、光に照らされた山体を黄土色で表現している。

  • 朝日  庭の植物や昆虫、カエルやネコなどを、鮮やかな色彩と輪郭線で描いた熊谷守一(1880~1977)。

  • ライフダンス No.1  人物の輪郭を表す線が画面を構成する形となり、四方八方へ広がっていく。

  • 立てる裸婦 アトリエに全く同じ構成でモデルや絨毯を配し、本作を描く小出楢重(1887~1931)の写真が残っている。

新着コラム