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美博ノート

「法悦のマグダラのマリア」

カラヴァッジョ展(名古屋市美術館)

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 1606年 個人蔵
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ 1606年 個人蔵

 イタリア絵画の巨匠カラバッジョ(1571~1610)は、作品も人生も劇的なことで知られる。気性が荒く暴力事件を何度も起こした末、1606年に1人の男を刺殺。以来最期までナポリ、マルタなど各地を転々とした。

 本作はローマを脱出した直後に描いた。女性は、キリストに出会って改心した元娼婦マグダラのマリア。左側からスポットライトのように光が強く当たり、暗闇の人物を浮かび上がらせている。背景には十字架がうっすらと見える。

 「殺人事件以降、外見的な美しさ以上に内面的な感情や葛藤を表現するようになった」と学芸員の保崎裕徳さん。罪を悔やんで天を仰ぐマリアの目からは一筋の涙が。画家が自身の反省や後悔の意を込めたかは定かでないが、光と闇のドラマチックな描写は見る者の胸を打つ。

(2019年11月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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