読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

虎図

石水博物館「五黄の寅 虎の美術とエトセトラ(干支,c'est 寅)」

虎図 川喜田半泥子 1950年 紙本着色  32.6×38.2センチ
虎図 川喜田半泥子 1950年 紙本着色 32.6×38.2センチ

 かわいらしくユーモラスなトラ。「東の魯山人、西の半泥子」とも称された陶芸家、川喜田半泥子(1878~1963)の作品だ。

 伊勢の豪商の家に生まれた半泥子は百五銀行(本店・津市)頭取などを務めながら書画や茶の湯をたしなみ、特に陶芸は自宅に窯を築くほどのめり込み、主に茶陶を制作した。また文化事業を支援し、後に石水博物館の母体となる財団を設立した。

 寅年生まれで、中でも強運とされる「五黄の寅」であるのを誇りにしていたという。72歳の五黄の寅年に描かれた本作は、江戸時代の禅僧・仙厓義梵の「虎図」の影響を受けている。学芸員の桐田貴史さん(27)は「若い頃から禅を学んだ半泥子は仙厓の禅画に心動かされるものがあったのでしょう」。

 迎える2022年は36年に一度の五黄の寅。本展は川喜田家の収集品や半泥子の作品から、トラや干支にかかわる作品を紹介する。

石水博物館
http://www.sekisui-museum.or.jp/

(2021年12月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

  • 生田敦盛 穏やかな表情で子を見つめる平敦盛の姿は、今にも消え入りそうだ。

  • 桃太郎/金太郎 歴史画家として知られる守屋多々志は、古今東西の物語や伝説をもとにした作品も多く残した。

  • 帯留「葡萄」 「養殖真珠ならではの統一性という特徴を生かした洗練されたデザイン」

  • 真珠貝玉箱 東南アジアで制作され、貿易により徳川家康が入手したと考えられる小箱

新着コラム