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美博ノート

CUBEの小さな旅

INAXライブミュージアム 「石井春 時を旅する色・形・窯」

セラミック 2023年 10×10×10㌢

 ラス質の釉薬(ゆうやく)で色や模様を施した12個の立方体。「タイル素地と釉薬が織りなす鮮やかな色味、つや感、ヒビのような模様の風合いが魅力」と、INAXライブミュージアム学芸員の高橋麻希さんは話す。釉薬をぽってりと落としたり、たらしたりと動きのある着彩も特徴だ。


 「小さな旅」と名付けられた本作は造形作家・石井春がミュージアム構内のやきもの工房で制作、今展が初公開となる。


 ポルトガルで石井が学んだアズレージョは粘土板を正方形に裁断、素焼きした後に釉薬で彩色して焼成する。「日本とは土や釉薬、気候も異なる。本作は日本だからこそ作ることができた」と石井は話す。


 アズレージョに魅せられたのはポルトガルへの旅がきっかけだった。「旅には冒険、挑戦、出会い、夢。人生に大事なすべてが詰まっている」という。

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