読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

瑞鳳扇(ずいほうせん)

三重県総合博物館「パール 海の宝石、神秘の輝き」

1928年 総高(台付き)60.5、扇幅30.7センチ
皇居三の丸尚蔵館蔵。19日まで展示
 瑞雲(ずいうん)鳳凰(ほうおう)の吉祥柄を表すつづれ織り地を表と裏それぞれに張った扇。ちりばめられた大小1600粒以上の真珠が、気品ある輝きを放つ。
 
 1928年、昭和天皇の即位礼に際して三重県が献上した本作を手がけたのは、ミキモト創業者の御木本幸吉(1858~1954)だ。英虞湾でアコヤガイを用いた真珠養殖の試みを始め、度重なる苦労の末、明治後期に成功した。
 
 本作に施されたのも養殖真珠。鳳凰の文様の上には、部分によって微妙に違う大きさの真珠を留めつけてある。扇面だけでなく、柄の先端や縁にも極小の粒が連なる。
 
 「大きさや形がそろった真珠が得られる養殖ならではの技術を感じられる逸品」と、三重県総合博物館学芸員の甲斐由香里さんは話す。
 
 今展では、御木本が天然真珠515個と養殖真珠290個を使って制作し、1907年の東京勧業博覧会に出品された「軍配扇」も展示される。
 
 会期は会期は6月16日まで。
(記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

  • ぬいとり 開催中の展覧会から注目作品をご紹介する「美博ノート」。全3回で、一宮市三岸節子記念美術館で開かれている「岡田三郎助 優美な色彩・気品ある女性像」を紹介します。

  • 三岸節子肖像 開催中の展覧会から注目作品をご紹介する「美博ノート」。今回から3回、一宮市三岸節子記念美術館で開かれている「岡田三郎助 優美な色彩・気品ある女性像」を紹介します。

  • 爆弾散華 碧南市藤井達吉現代美術館で開催中の「川端龍子展」の注目作をご紹介します。

  • 龍巻 突風に巻き上げられた海の生き物が、空から降ってくる--。

新着コラム