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私の描くグッとムービー

YUKI UEBOさん(イラストレーター)
「リトル・ダンサー」(2000年)

否定せず共存 みんな違ってもいい

 高校生くらいの頃に、ビデオのレンタルショップで見つけたイギリス映画です。ハリウッド映画のように派手ではないけれど、主人公の11歳の少年ビリーが炭鉱の町でカラフルに輝いているように見えて、こんなにも心が動かされる映画は初めてでした。

 ビリーは、炭鉱作業員のお父さんの意向でボクシング教室に通っていますが、バレエのレッスンを見かけたことをきっかけに、バレエダンサーを目指すようになります。彼を応援する大人たちも素敵で、見ているうちに自分を応援してくれる人を思い出し、感謝がわき上がってくる作品です。

 ビリーがバレエ学校の面接に臨むシーンで、踊っているときの気持ちを聞かれて「電気のよう」と表現する部分が好きです。子どもの頃に感じていた純粋な「好き」という気持ちを思い出させてくれる。わたしも絵を描くのが好きな気持ちの延長線上に、今のイラストレーターの仕事があります。大変だけど、それを超えた「電気!」みたいな気持ちがあるから続けられるんですよね。

 この映画には、あらゆる対比が出てきます。炭鉱作業員とバレエ学校の関係者、荒々しさと繊細さ――。男性のバレエに偏見をもつビリーのお父さんも最後には優しい笑顔になる。

 わたしも、絵の中に異なる文化や人々が混ざり合う風景を描くことが多いです。ロンドンの美大に留学していたときは色々な国から人が集まり、外見や食生活もバラバラでした。一緒に学ぶうちに「このままでいていいんだ」と思えて、「みんな違う空間」が居心地が良いと知りました。

 この映画も相反するものを否定するのではなく、ただ共存している。自分の経験とも重なって魅力を感じます。

(聞き手・斉藤梨佳)

 

 
 監督=スティーブン・ダルドリー

 製作国=英国  

 出演=ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、ゲイリー・ルイスほか

 

  ゆき・うえぼう イラストレーター 1987年東京都生まれ。NHK特集ドラマ「片想(かたおも)い」では岡山天音演じる青年が描く絵を担当するなど国内外で活躍。 

 インスタグラムアカウント
 https://www.instagram.com/yukiuebo/

 

(2026年7月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます)

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