兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市)は佐渡裕芸術監督プロデュースオペラの最新作「カルメン」を7月17日(金)~26日(日)に上演する。スペインを舞台に魔性の女、カルメンと一途な男のドン・ホセの愛と死の運命の物語を、創造性に満ちた佐渡のタクトで情熱的に描く。
数あるオペラ作品の中でも高い人気を誇る「カルメン」。人間味あふれるストーリーと「パパネラ」などなじみ深いメロディーが支持されていて、県立芸術文化センターで2009年以来の再演となった。
1月の制作発表に出席した佐渡は「カルメン」について、「たぶん世界で最も上演回数の多い作品ではないか。ミュージカルみたいに皆さんが口ずさめるナンバーが目白押しだし、すばらしいアリア(独唱)も、合唱の名曲もある」と語った。「オペラは舞台を通して知らない国を体験する面白さがある」とし、「スペインで情熱的かつ自由奔放に人々を魅了するカルメンと、彼女に翻弄されるホセの避けがたい運命に迫りたい。世界中ですでに見られているものとまた違う舞台になると確信している」と意欲を見せる。

「まったく新しいカルメンを作りたい」と話す佐渡裕
カルメンとホセを演じる高野百合絵(ソプラノ)、マリオ・ロハス(テノール)も制作発表に同席した。高野は21年の「メリー・ウイドウ」、23年「ドン・ジョバンニ」、24年「蝶々夫人」に続いて佐渡オペラは4作目。「スポーツ少女だった中学生のころに出合ったオペラ『カルメン』が、この道に進むきっかけになった。カルメンは悪女なのか、いい人なのか。いろんなキャラクターを持つ女性ですが、向き合ったものから逃げない強さに心ひかれる。メッセージ性を持ったカルメンを演じたい」と力を込める。
メキシコ在住のロハスは甘く張りのある歌声の実力派。24年「蝶々夫人」ではピン・カートンを演じた。「スペインからメキシコに渡った祖父母の孫である私にとって、ホセは特別な役。いつも演じるときには祖先が味わっただろう辛苦を思い出す」と語る。「前作『蝶々夫人』の舞台は日本で、今作はスペイン。私のよく知るカルチャーを演じさせてもらえるのはうれしい。死と向き合うことになるホセと同様、一瞬一瞬を大切に、いい仕事をしたい」と話した。

佐渡がプロデュースするオペラへの出演は高野が4作目、ロハスが2作目
「いまの段階でどこまで言えるかわかりませんけど」と佐渡が明かした舞台装置も注目だ。舞台中央に本物の砂を敷き詰めた〝砂漠〟が現れ、複雑に交錯する登場人物の思いを表現する。関西を中心に選りすぐった声楽家と一般から募った大人と児童、総勢100人規模の合唱団による迫力ある歌声も劇を盛り上げる。
芸術文化センターは昨年開館20周年を迎え、佐渡オペラは「カルメン」で21作目を数える。佐渡はプロデュースを振り返り、「たくさんの歌手の皆さんとの出会いをひとつ一つ積み重ね、伝統へ一歩踏み出せたかな。オペラは舞台に立つ人間だけでなく、衣装、かつら、装置、照明などいろんな人が絡んでいる。このいいチームで次も歩んでいきたい」と抱負を述べた。
芸術文化センターKOBELCO大ホールで全8回公演。高野・マリオのチームと、エカテリーナ・セメンチェック(カルメン)とロベルト・アローニカ(ホセ)のチームがダブルキャストで日替わり出演する。演奏は兵庫芸術文化センター管弦楽団。A席1万5千円、B席1万2千円など。3月1日(日)一般発売。問い合わせは芸術文化センターチケットオフィス(電話0798・68・0255)。
兵庫県立芸術文化センターの「カルメン」の特集サイト
https://www.gcenter-hyogo.jp/carmen2026/