読んでたのしい、当たってうれしい。

街の十八番

ういろう@小田原

薬とお菓子 二つのういろう

25代目外郎藤右衛門さん。菓子のういろうは一棹(さお)756円。建物内には「外郎博物館」も
25代目外郎藤右衛門さん。菓子のういろうは一棹(さお)756円。建物内には「外郎博物館」も
25代目外郎藤右衛門さん。菓子のういろうは一棹(さお)756円。建物内には「外郎博物館」も 薬のういろうは腹痛、胃痛、疲労回復などに効果があるとされる。141粒1080円

 店舗は小田原城の近く。棟や破風の多い八棟(やつむね)造りが特徴的だ。中では売り場が二つ並び、丸薬ういろう(透頂香(とうちんこう))と菓子のういろうが売られている。丸薬は店舗での対面販売のみで、5代にわたり愛用している一家もいるという。桂皮(けいひ)、薬用人参(にんじん)など十数種類の生薬を使い、製法は門外不出。菓子は、米粉に砂糖などを加えて蒸し上げた棹(さお)菓子だ。

 商品のルーツは室町時代。2代目外郎宗奇(ういろうそうき)が、京都の朝廷に仕えながら一家伝来の丸薬の製造と共にお菓子のういろうを考案した。1504年に5代目外郎藤右衛門(とうえもん)が、戦国大名の北条早雲に招かれて小田原に移住し、今に至る。

 現在は25代目(56)が2017年から藤右衛門の名を受け継ぐ。05年、91歳の先代から指名された時は銀行員だった。継ぐと決めた2年後、45歳で横浜薬科大に入学し薬剤師の資格を取った。

 昔ながらの製法のため、大量生産はできない。「薬で住民の健康を守り、お菓子で喜んでもらいたいという先祖代々の想(おも)いを受け止め、大切に商品を作ることを後世に伝えたい」

(文・写真 西村和美)


◆神奈川県小田原市本町1の13の17(TEL0465・24・0560)。午前10時~午後5時。(水)と第3(木)休み。小田原駅。

(2018年3月30日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

街の十八番の新着記事

  • 水戸元祖 天狗納豆@水戸 茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。

  • 大和屋@日本橋 東京・日本橋、三越前に店を構えるかつお節専門店。江戸末期、新潟出身の初代が、魚河岸のあった日本橋で商いを始めた。

  • 佐野造船所@東京・潮見 水都・江戸で物流を担ったのは木造船だった。かつて、和船をつくっていた船大工は今はほとんど姿を消した。佐野造船所は、船大工の職人技を代々受け継ぎながら生き延びてきた。

  • 天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取 「エイ」「ヤー!」。勇ましいかけ声と木刀の打ち合う音が響く。千葉県香取市、香取神宮のほど近く。約600年連綿と伝えられてきた古武術、天真正伝(しょうでん)香取神道流の本部道場だ。

新着コラム