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ロゴ散歩

東京都美術館

未来を見据えた造形の原点

 シンプルかつシンボリック。

 1926年に開館した日本初の公立美術館である東京都美術館は、長くロゴを持たなかった。

 2012年のリニューアルオープンに向け初めて作られたのがこのロゴだ。

 キューブ状のモチーフと赤系の色は、前川國男が設計した現在の建物を連想させる。

 デザインした吉岡徳仁さんは、今回の東京五輪・パラリンピック聖火リレーのトーチを手がけたデザイナー。「造形の原点である直方体と、日本を思わせる色を採用した」と話す。

 直方体は3Dで作製したものを平面化。「これからの時代、ロゴも回転するなど立体的になっていくことを意識しました」

 HPや広報誌など館全体を表す時にはこのロゴを、展覧会ポスターなどにはモチーフが枠線だけのロゴを用いる。展示の世界観を崩さないようにと、吉岡さんが2種の使い分けを提案した。

 同館広報担当者は、「目的によって使い分けるロゴを持つ館は珍しいと思います。どちらもシンプルですが、色あせない魅力があります」と話す。

 ◆東京都美術館 東京都台東区上野公園8の36(☎03・3823・6921)。午前9時半~午後5時半(入館は30分前まで)。原則第1、第3(月)休み。特別展開催時の休みと時間は要問い合わせ。

(2020年9月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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