ひとえきがたり

旧新橋停車場(東京都、日本最初の鉄道の起点)

ビルの谷間 よみがえった遺構

夕闇が迫る旧新橋停車場。明かりがついたビアホールのにぎわいは、明治の停車場のざわめきをほうふつとさせる=東京都港区東新橋1丁目

夕闇が迫る旧新橋停車場。明かりがついたビアホールのにぎわいは、明治の停車場のざわめきをほうふつとさせる=東京都港区東新橋1丁目

  • 夕闇が迫る旧新橋停車場。明かりがついたビアホールのにぎわいは、明治の停車場のざわめきをほうふつとさせる=東京都港区東新橋1丁目
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 東京・汐留(しおどめ)。林立する高層ビルの谷間に石張り2階建ての洋館がたたずむ。1872(明治5)年に新橋―横浜間で開業した日本最初の鉄道の起点「新橋停車場」を現地で再現したもの。米国人建築家R・P・ブリジェンス設計によるハイカラな西洋建築は、当時の名所だった。

 東日本鉄道文化財団が管理する建物内の多くは、老舗ビアホール「銀座ライオン」が使用している。夕食時にはビールジョッキを傾けながら談笑する姿があちこちに。「ここに新橋停車場があったことを知らないお客様も多いですが、『こんな所にお店があったんだね』『豪華だね』と声をかけていただくこともあります」と支配人の熊山克希さん(41)。

 新橋停車場の歴史は、東棟にある「鉄道歴史展示室」でたどることができる。停車場は東京駅開業の1914(大正3)年、貨物専用の汐留駅となり、新橋の駅名は烏森(からすもり)駅が引き継いだ。汐留駅は86年に廃止。5年後、汐留再開発にともなう発掘調査で、関東大震災で焼失した停車場の礎石などの遺構が地面の下からあらわれた。展示室学芸員の河野真理子さん(57)が、当時を振り返りながら話す。「通常は文献に記録されたあと、壊されてしまうことの多い遺構が、そのままの姿で残ったのがうれしかった」

 再現駅舎は2003年に完成。鉄道発祥の地の記憶をいまに伝える礎石は、展示室のガラス張りの床から見ることができる。

文 相田香織撮影 横関一浩 

沿線ぶらり

 日本最初の鉄道は新橋―横浜(現在の桜木町駅)間の28.8キロ。英国製の機関車が約53分でつないだ。新橋停車場は現在のJR新橋駅から東へ約300メートルの位置にあった。

 鉄道建設の測量時に起点としたのが「0哩(マイル)標識」。いまも再現プラットホームの脇に残されている。

 現在のJR新橋駅西口前の広場に展示されているSL「C11形292」。1972年、鉄道開業100周年の年に設置された。それまでは姫路機関区に所属し、JR姫新線、播但線などのローカル線を中心に走っていたという。

 

 興味津々
再現されたプラットホーム
 

 旧新橋停車場裏には、再現されたプラットホーム25メートルが建物からテラスのように延びている。本来は151メートルあった。

(2015年7月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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