水戸市に新しい街の顔が誕生した。ホールや美術館、カフェを擁する文化交流拠点は人々が集い、憩う交流空間を目指している。
ホールに入ると、外界の音が遮断され、穏やかな空気に包まれる。
高い天井と県産ケヤキ材を使った内装。ぬくもりのある空間で、家族連れや若者たちがテーブルで穏やかな時間を過ごしている。
文化交流施設「テツ・アートプラザ」。水戸市中心部に昨年11月に完成した。旧川崎銀行の支店が無料開放の「クヴェレホール」に再生され、その両側の増築部分に「クヴェレ美術館」とカフェ棟がホールを包むように配置されている。
重厚な旧支店は1909(明治42)年に建設され、長年地元のランドマークだった。45(昭和20)年の水戸空襲で外壁と金庫を残して焼失。戦後改修され、三菱UFJ銀行の支店となっていた。
支店の移転後、水戸出身のアパレル大手「アンドエスティHD」の実質的な創業者、福田三千男さん(80)が「文化芸術に触れて楽しめる憩いの場を」と整備し、公益財団法人が運営している。
旧支店は元々れんがが使われた建物だった。建設当初のれんがをホール内壁に再利用し、一部には当時のれんがを露出させた。 美術館には新たに焼いたれんがを積み上げ、白御影石の稲田石を敷き、内装には県産のケヤキやスギ、クリなどを使っている。施設全体で使ったれんがは約9万個に及ぶ。
設計は、山梨県立美術館南館や町田市立国際版画美術館などを手がけた大宇根弘司さん(85)。大宇根さんは「環境に負荷を与えず、100年後、200年後でも残る建物。土地に根ざした落ち着いた景観を目指しました」と話す。
近くには磯崎新が設計した水戸芸術館や、伊東豊雄らが手がけた水戸市民会館がある。大宇根さんは「意識しなかったといったらうそになる」と笑う。
「クヴェレ」はドイツ語で「泉」。「土地の記憶」を未来につなぎ、湧き出る泉に人々が集まるような交流の場が生まれつつある。
(阿部毅、写真も)
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DATA 設計:大宇根建築設計事務所 《最寄り駅》:水戸 |
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カフェ棟「niko and...COFFEE 水戸TAP店」(☎029・297・8681)は、明るく開放的な空間。こだわりのコーヒー(370円~)やスムージー(490円~)などの他、店内で様々な具材をはさんでくれるふわふわのコッペパン「ニコパン」(370円~)が人気。午前10時~午後6時、月と第2火(祝の場合は翌平日)休み。