アートリップ

Serpentine(サーペンタイン)
ジェニー・ホルツァー作(大阪市北区)

絶え間なく流れる「言葉」たち

縦13・2センチ、全長20メートル。作品名は「蛇行した」の意。人の歩行と同じくらいの速度でテキストが流れる

縦13・2センチ、全長20メートル。作品名は「蛇行した」の意。人の歩行と同じくらいの速度でテキストが流れる

 ――PROTECT ME FROM WHAT I WANT(私の欲望から私を守ってください)――。

 大手企業のテナントビルが並ぶ大阪市北区中之島、中之島三井ビルディングのエントランスロビー。柱を縫うように設置されたLEDの電光掲示板に、青く発光するデジタル文字が絶え間なく流れている。ニュースやインフォメーションかと思いきや、ハッとする警句めいた英文に足が止まった。

 作者は米国出身のジェニー・ホルツァーさん(69)。現代社会の歪みを、時に過激な「言葉」で提示する美術家だ。この作品には冒頭の一文のほか「自意識は人を損なう」「臆病は嘲笑される」など、412の簡潔な英文テキストを流し、考察を促す新たな視点を日常空間に滑り込ませている。

 近年アートの取り組みが盛んな中之島。旧ビルを建て替え2002年に竣工した同ビルは、この流れに先駆けてアート計画を実施。ガラス張りのエントランスを「宝石箱」に見立て、通称「サファイア」の本作のほか、日本人作家によるルビーを模した立体作品を設置している。美術館帰りに寄った出口裕子さん(62)は「英語は分からんけど」と笑いながら、「作品を意識したとたん、空間の見方が変わるのが面白い」と話す。

 作品は来月下旬、メンテナンスのため米国に送られる。17年間静かに言葉を発し続けた作品の、一時の休息だ。

(安達麻里子)

 《アクセス》肥後橋駅から徒歩5分ほど。

 中之島

 堂島川と土佐堀川に挟まれた東西約3キロの細長い中州。市庁舎や美術館が並ぶ、古くからの経済や文化の中心。大阪中之島美術館が2021年度中に開館予定。


ぶらり発見

アフタヌーンティー 中之島・北浜地区周辺には、明治~昭和初期の近代建築が多く残る。北浜レトロ(問い合わせは06・6223・5858)では、国登録有形文化財の築100年超の洋館で本格的なアフタヌーンティー(2700円、写真)が楽しめる。紅茶や雑貨の販売も。

 作品から徒歩約20分、福島駅近くの関西将棋会館1階販売コーナー(問い合わせは6451・5077)には、将棋関連グッズや書籍が並ぶ。関西の若手棋士の揮毫入りタオル(440円)などの限定品も。(祝)を除く(火)休み。

(2019年10月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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