ぬいとり
開催中の展覧会から注目作品をご紹介する「美博ノート」。全3回で、一宮市三岸節子記念美術館で開かれている「岡田三郎助 優美な色彩・気品ある女性像」を紹介します。
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| ©Sophie Calle/ADAGP,Paris,2015 |
フランスの女性現代美術家ソフィ・カルが25年にわたって「見ることとは何か」を追究した三つの作品群が、リニューアルされた美術館の空間に合わせて展示されている。
本作は、最初に制作された「盲目の人々」の一部だ。「あなたにとって美とは何か」というカルの質問にこの少年は、「緑は美しい」と答えた。草や木々など何かを好きになると、毎回それが緑色をしていると人から言われるからだという。
23人の肖像写真と回答の文章、それに対してカルが用意した写真で構成されるこの作品に登場する彼らは、生まれながらに目が不自由にもかかわらず、ブロンドの髪、星、アラン・ドロンと具体的な美のイメージを語る。耳に入ってくる情報を自分の中で大切に抱いていたり、触覚から想像を膨らませたりする様子が伝わってくる。美は見える人にしかわからない、そんな偏見をカルは一蹴してみせるのだ。