五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
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©Sophie Calle/ADAGP,Paris,2015 |
フランスの女性現代美術家ソフィ・カルが25年にわたって「見ることとは何か」を追究した三つの作品群が、リニューアルされた美術館の空間に合わせて展示されている。
本作は、最初に制作された「盲目の人々」の一部だ。「あなたにとって美とは何か」というカルの質問にこの少年は、「緑は美しい」と答えた。草や木々など何かを好きになると、毎回それが緑色をしていると人から言われるからだという。
23人の肖像写真と回答の文章、それに対してカルが用意した写真で構成されるこの作品に登場する彼らは、生まれながらに目が不自由にもかかわらず、ブロンドの髪、星、アラン・ドロンと具体的な美のイメージを語る。耳に入ってくる情報を自分の中で大切に抱いていたり、触覚から想像を膨らませたりする様子が伝わってくる。美は見える人にしかわからない、そんな偏見をカルは一蹴してみせるのだ。