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美博ノート

エドガー・ドガ「美術館にて」

パリジェンヌ展(名古屋ボストン美術館)

1879~90年ごろ Gift of Mr. and Mrs. John McAndrew 69.49 Photo (C)MFA,Boston
1879~90年ごろ 
Gift of Mr. and Mrs. John McAndrew 69.49 Photo ©MFA,Boston

 芸術の都パリ。19世紀後半になると、女性が画家やモデルなど表現者として活躍し始める。

 本作でモデルとなった、画家のカサットもその一人。当時流行した黒い服に身を包み、姉とともに美術を鑑賞する様子を、ドガが描いた。

 カサットは米国で絵の基礎を学んだあと、21歳でパリへ。当時の国立美術学校は、女性がヌードデッサンすることを禁じるなど様々な制約があった。古い体制に反発する美術家たちが革新的な表現を求め、印象派などが誕生。ドガと親しくなったカサットは印象派展にも出品した。女性画家が少なかった時代に、精力的な活動を見せた。

 マネやピカソもパリジェンヌを描いている。パリで輝く女性は、絵画の巨匠のミューズにもふさわしかったようだ。

(2017年9月19日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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