立てる裸婦
アトリエに全く同じ構成でモデルや絨毯を配し、本作を描く小出楢重(1887~1931)の写真が残っている。
人物の輪郭を表す線が画面を構成する形となり、四方八方へ広がっていく。その線に沿って砂がまぶされ、白く光を反射しながらざらりとした質感を与えている。
洋画家、大沼映夫(1933~)のこの作品は、「線、色彩、質感で構成されています」と、学芸員の小坂井玲さん。直線と3原色や白黒の色彩で表現した抽象画で知られ、大沼がオランダ留学中に感銘を受けた画家、ピート・モンドリアンの影響もみてとれるという。
大沼は人物を主なモチーフに、数年ごとに表現のスタイルを変化させてきた。「ライフダンス」シリーズでは、「人物と周囲の空間を均等な価値にすること」を狙ったという。「一つの線が、人と空間のかたちを同時に生み出しています。双方に同じ色彩と質感が与えられ、画面を構成する同等の要素となっています。この後、大沼は人物から離れ、より抽象的な作品を展開しています」