読んでたのしい、当たってうれしい。

青木豊さん
来福酒造 Raifuku MELLOW

 生ものによく合うお酒なんですよ。刺し身とか生ガキとか。お薦めはストレートの常温。水の代わりに純米酒で仕込む貴醸酒で、ものすごくこってりした飲み口。なめたとき、その甘さに驚きました。でも後味はやっぱりお酒。洋酒の甘さともお菓子の甘さとも違うし、どちらかというと果物の甘みに近いのかな。

 実家は写真屋でした。幼いころは、働いてばかりのおやじも、写真も実は嫌いでしたね。20代半ばで家業は継ぎましたが、フィルムからデジタルへ替わる中で経営が傾き、結局10年ほどで店を畳み、職を転々としていました。

 そんなある日、戸外で雷が鳴っていたので、アパートの窓をガラッと開けてシャッターを切ったら、これがもう、うまい具合にドンピシャで撮れた。狙えば写せると知ってから雷撮影にはまりました。

 コロナ禍でずいぶん仕事が減りました。生活が厳しくなりかけた矢先、「アルバイトに来ませんか」と来福の社長から電話がありました。今は週3日アルバイトしています。おやじと社長のお父さんは趣味友達だったので、声をかけて頂けたのかな。

 器用貧乏なところはおやじ似。生前、おやじは来福のお酒しか飲みませんでした。辛口ばかり飲んでいたので、甘口のMELLOW(メロウ)の良さを薦めてみたかったですね。

(聞き手・島貫柚子)

 ◆茨城県筑西市村田1626(☎0296・52・2448)。720㎖1925円。全国の特約店で購入できる。


 あおき・ゆたか 写真家。1968年、茨城県筑西市の写真屋の次男に生まれる。同市から半径30㌔圏内の雷や積乱雲などの悪天候を予測し、「ストーム・チェイサー(嵐の追跡者)」として撮影している。

ロングインタビュー
https://www.asahi-mullion.com/column/article/ggourmet/5878

(2023年12月7日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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