街の十八番

日本橋弁松総本店@日本橋

江戸好みの濃ゆい味の弁当

本店前に立つ樋口純一さん。本店で平日のみ販売のランチが人気。650円

本店前に立つ樋口純一さん。本店で平日のみ販売のランチが人気。650円

  • 本店前に立つ樋口純一さん。本店で平日のみ販売のランチが人気。650円
  • 「並六」のおかずは12種類。この後、絹さやをのせ完成。白飯1080円、赤飯1242円

 江戸時代、魚河岸があった日本橋に、嘉永3(1850)年創業の折り詰め料理専門店「弁松総本店」がある。忙しい魚河岸の人たちが持ち帰れるように、料理を経木や竹の皮に包んだのが弁当屋としての始まりだという。3代目になり、「弁当屋の松次郎」から略して「弁松」と称した。

 人気の「並六(なみろく)」は、六寸にやや満たない折り箱の大きさからその名がつく。今も経木の折を使い、「野菜の甘煮」「玉子焼」「めかじきの照焼(てりやき)」「豆きんとん」「つとぶ(生麩(なまふ))」など、昔ながらの定番がぎっしりと並ぶ。

 調理は、江東区の工場で深夜1時くらいから始まる。約20人の社員の中に、8代目の樋口純一さん(47)も加わり、朝方までに折り詰め約1千個を作る。

 江戸好みの甘辛い味付けは、長年変えていない「濃ゆい」味。親子代々の愛好者がいる一方、煮物ではなく「煮菓子」だという人や、「砂糖の量を間違えたのでは」という声もあるそうだが、「これがうちの味。変えたら弁松でなくなります」と樋口さんは語る。

(文・写真 清水真穂実)


 ◆東京都中央区日本橋室町1の10の7(TEL03・3279・2361)。午前9時半~午後3時((土)(日)(祝)は0時半まで)。無休(年始休み)。三越前駅。

(2019年2月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

「街の十八番」の新着記事 一覧を見る
水戸元祖 天狗納豆@水戸

水戸元祖 天狗納豆@水戸

茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。

大和屋@日本橋

大和屋@日本橋

東京・日本橋、三越前に店を構えるかつお節専門店。江戸末期、新潟出身の初代が、魚河岸のあった日本橋で商いを始めた。

佐野造船所@東京・潮見

佐野造船所@東京・潮見

水都・江戸で物流を担ったのは木造船だった。かつて、和船をつくっていた船大工は今はほとんど姿を消した。佐野造船所は、船大工の職人技を代々受け継ぎながら生き延びてきた。

天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取

天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取

「エイ」「ヤー!」。勇ましいかけ声と木刀の打ち合う音が響く。千葉県香取市、香取神宮のほど近く。約600年連綿と伝えられてきた古武術、天真正伝(しょうでん)香取神道流の本部道場だ。

新着コラム 一覧を見る
やなぎみわ さん(美術家、演出家)「8 1/2(はっかにぶんのいち」(1963年)

私の描くグッとムービー

やなぎみわ さん(美術家、演出家)
「8 1/2(はっかにぶんのいち」(1963年)

大学生のとき、オールナイト上映で見ました。何が言いたいのか全然わからなかったけれどラストで感動した、初めての映画です。

ブームの卵

ブームの卵

5月24日 注目グッズ
「SinkPlate」など

食器を洗っていて、気がつくと洋服がビショビショにぬれていたことってない?

「久世福商店」の蜜自慢かりんとう

オトコの別腹

中村征夫さん
「久世福商店」の蜜自慢かりんとう

水中での撮影は体力勝負です。自分の体やカメラが潮に流されないように、撮りたい瞬間を待つ。神経も使います。その合間に食べたくなるのが、このかりんとう。

「リストランテ文流」の海の幸とキノコのスパゲッティ(トマトクリーム)

おんなのイケ麺(めん)

文月悠光さん
「リストランテ文流」の海の幸とキノコのスパゲッティ(トマトクリーム)

2010年に大学進学で札幌から上京しました。

マイページへ 新規会員登録

プレゼント応募時に1度会員登録をされると、以後はパスワードなどの入力だけでご応募いただけます。