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建モノがたり

A House for Oiso (神奈川県大磯町)

土と木を重ね「100年続く家」

細長い台形の敷地に立つ。土壁の1階に対し、2階は杉材を使い、仕切りのない長方形のフロアに
細長い台形の敷地に立つ。土壁の1階に対し、2階は杉材を使い、仕切りのない長方形のフロアに
細長い台形の敷地に立つ。土壁の1階に対し、2階は杉材を使い、仕切りのない長方形のフロアに 1階の中心に位置する土間。はめ込み式の全面ガラス窓などから庭が眺められる

海と山が近い大磯。住宅地の角地にある、土塀の上に木造家屋がのったような建物は何?

 「A House for Oiso」は紅茶ブランド「TE HANDEL」を運営する加瀬さやかさん(44)が店舗・ギャラリー兼住居として建てた。

 設計を頼むなら、と加瀬さんが決めていたのはフランスを拠点にする気鋭の建築家・田根剛さん(42)。東京・日比谷の帝国ホテル東京の新本館(2031~36年度建て替え予定)のデザイン案が採用されたのは記憶に新しい。

 2人の出会いは約20年前。加瀬さんが神奈川県の派遣事業でスウェーデンの自治体で研修中、田根さんも同国に留学していた。「(田根さんは)とにかくよく勉強していましたね」と加瀬さん。

 田根さんが初めて手がける個人住宅に加瀬さんが出した最大の要望は「100年続く家」。世代を超えて引き継がれ、地域に根付く建築のヒントを、田根さんは近隣の古墳や、東海道の宿場町だった大磯の歴史に見いだした。「いろんな時代の日本の暮らし方を一つにしてしまおうと思った」

 1階は6畳ほどもある土間を中心に、店舗とギャラリースペース、キッチン、和室などがつながる。屋内も土壁。土に囲まれた空間は「冬は暖かく、夏ひんやり」と加瀬さん。左官職人は加瀬さんが人づてに探した。パリにいる田根さんに代わって「現場マネジャーもやらせてもらった」。

 今年で起業20年目になる加瀬さん、「屋上緑化を進めたり、この場所を地域に開いて育てていきたい」と計画を温めている。

(片山知愛、写真も)

 DATA

  設計:Dorell.Ghotmeh.Tane/Architects
  階数:地上2階
  用途:住居、店舗、ギャラリー
  完成:2015年

 《最寄り駅》 大磯


建モノがたり

 大磯駅前にあるTE HANDELのティールームTE HANDEL platform(問い合わせは0463・61・1327)では有機茶葉の紅茶や焼き菓子、お茶関連の本や雑貨などを販売。アールグレイのNo.11 Blue Star(50グラム864円)など。午前10時~午後5時、(日)休み。当面の間テイクアウトのみ。

(2022年1月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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