五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
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ヨハネ・パウロ2世美術館蔵 |
色とりどりの花や、みずみずしい果実が彩るのは、マリアとヨセフの結婚の場面。本作はブリューゲル兄弟の弟、ヤン・ブリューゲル1世が手がけた。しかし、ヤンが描いたのはまわりの静物の部分だけで、人物の部分は別の画家が担当した。
当時、共同制作はよくあった。それぞれが得意な分野を担当することで、数々の傑作を生み出したのだ。ヤンは当時から「花のブリューゲル」と呼ばれるほど、花や動物、森林風景の描写に優れており、巨匠ルーベンスとも共作している。
並外れた描写力で、名声を博したヤン。やがて、ネーデルラント(オランダ・ベルギーなどの地方)の宮廷画家にのぼり詰め、後世の画家たちにも影響を与えた。