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美博ノート

ゾフィー・トイベル=アルプ「段階的な配置」

岡﨑乾二郎の認識 抽象の力(豊田市美術館)

ゾフィー・トイベル=アルプ「段階的な配置」
版画 1950~60年(原画は34年制作)

 造形作家の岡﨑乾二郎さん(61)が案内するギャラリートーク。

 岡﨑さんは、ある版画の前で立ち止まった。ゾフィー・トイベル=アルプ(1889~1943)の「段階的な配置」。彼女はスイスの芸術家でダンサーだ。「ダダイズムは女性アーティストが多いですが、ゾフィーは中心人物のひとりです」

 この作品は、ある形の模様を間隔を置き、連続して描くことで、リズムを生み秩序を保っているという。ダンサーは、舞台で踊る自分の姿を見ることができない。しかし、身体は動きを把握し、多人数で踊っていても秩序が保たれる。「抽象は、視覚だけでなく身体で物の本質を理解すること。彼女がダンサーであることは重要だったんです」

(2017年5月9日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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