五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
造形作家の岡﨑乾二郎さん(61)が案内するギャラリートーク。
岡﨑さんは、ある版画の前で立ち止まった。ゾフィー・トイベル=アルプ(1889~1943)の「段階的な配置」。彼女はスイスの芸術家でダンサーだ。「ダダイズムは女性アーティストが多いですが、ゾフィーは中心人物のひとりです」
この作品は、ある形の模様を間隔を置き、連続して描くことで、リズムを生み秩序を保っているという。ダンサーは、舞台で踊る自分の姿を見ることができない。しかし、身体は動きを把握し、多人数で踊っていても秩序が保たれる。「抽象は、視覚だけでなく身体で物の本質を理解すること。彼女がダンサーであることは重要だったんです」