五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
日本に伝わるさまざまなデザインや文様。今展では、主に江戸時代から現代の絵画や工芸約60点を通じ、意匠の意味や由来を紹介する。作品の背景に注目すると、鑑賞もより深まりそうだ。
直径42センチと、人が抱えるほどの大きさの「雲錦大鉢」は、陶芸家・北大路魯山人(1883~1959)の代表作の一つ。その内外には、桜と紅葉が立体感をもって描かれている。この絵柄の名前は「雲錦模様」。学芸員の今泉たまみさんによると、「吉野山の桜は雲かとぞ見え、竜田川の紅葉は錦の如し」という京都の古い言葉が由来になっているという。異なる季節が一緒に描かれることで、一年中使うことができるため、器や着物のデザインによく使われるのだとか。
美食家でも知られる魯山人。この風流な響きの文様を施した鉢には、何を盛ろうとしたのだろうか。