ぬいとり
開催中の展覧会から注目作品をご紹介する「美博ノート」。全3回で、一宮市三岸節子記念美術館で開かれている「岡田三郎助 優美な色彩・気品ある女性像」を紹介します。
絵本「ぞうのエルマー」シリーズの舞台はジャングル。パッチワーク模様をしたカラフルなゾウのエルマーのほか、様々な動物や植物が描かれている。
本作は、翻訳されたシリーズ23作中20作目「エルマーと100さいのたんじょうび」の冒頭。ライオンやサル、鳥たちが画面の右側を見つめ、物語の始まりを予感させる場面だ。
「ジャングルの植物の描き方が独特なので注目してほしい」と、清須市はるひ美術館学芸員の加藤恵さんは話す。サルがいる大きな木の先端には、太陽のように大きなオレンジ色の球形がいくつもある。ピンクの水玉模様をした葉、白い粒が連なって枝のように伸びた植物も。
シリーズを手がけたイギリスの絵本作家デビッド・マッキー(1935~2022)は身の回りの様々な植物を観察し、ヒントを得ていたという。優しい色調の背景が、明るくあたたかな物語と呼応している。