ベス神の顔をかたどった壺(つぼ)
ユーモアたっぷりの姿で家庭を見守る神様。日用品から垣間見える古代エジプト人の生活。
エジプトで古くから生命の源とされてきたナイル川。その沼地に生息するカバは、豊穣(ほうじょう)と再生の象徴とみなされた。さらにメスのカバが猛烈な勢いで子どもを守ることから、その力で死者の魂を守ってもらおうと人々はカバの像を墓に収めたという。ナイル川岸の植物文様が描かれた「青いカバ」は、ルーブル美術館やメトロポリタン美術館も所蔵している。
本作の見どころは、極端に短い脚。攻撃的なカバに死者が襲われることを恐れたため、脚をあえて折り取って副葬したとされる。会場では折り取った跡が分かりやすいよう、上下を逆さにして展示している。
古代エジプトでは「神聖なものが動物の形で現れる」という考えのもと、様々な動物があがめられた。死後の世界でのペットや奉納品としても扱われていたという。会場では他にもサル、ネコ、ジャッカル、トガリネズミの像なども紹介している。