五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
アメーバ、サボテン、深海生物……。いや、もっとえたいの知れない何物か。吹きガラスで制作された高さ88センチのオブジェだ。
「溶けたガラスは、火の中で踊る生き物のよう。なまめかしく、とどまることがない」。そう話すのは、ガラス作家の佐々木雅浩。転成や臨界といったテーマで制作を続ける。溶解炉の中でガラスが見せる、有機的な表情を捉えたいという。
本作は、1日がかりで冷やした後、表面を部分的に削り、「より妖艶(ようえん)に見えるよう」、プラチナ液で光沢を出した。
作品名には、「生と死を包み込む森」の意を込めた。「ガラスが、僕を通して作品という別のものに姿を変える。いったん消滅して生まれ変わる命のようで、面白い」